大人の場面緘黙の人に向いている仕事

場面緘黙とは、家では普通に話すことができるのに、幼稚園や保育園、学校では話すことができなくなり、このような状態が1ヶ月以上続くことをいいます。

大きくなったら治るだろうと思われているこの疾患は、大人になっても治らないことがあります。

なかなか人にはわかってもらえない状況の中で、場面緘黙症の方々は仕事についても悩んでいます。

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場面緘黙の『自分から話せない』現実

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ひょっとしたら、クラスにとてもおとなしい子がいたことはないでしょうか?

学校では1度も声を聞いたことがなく、人と話しているのを見たこともない不思議な子。

場面緘黙と呼ばれるこの疾患は、家族やとても親しい人とは話ができるのに、それ以外の場所では話しができなくなってしまう不安障害の一つです。

場面緘黙は診断基準DSM-5では、不安症のカテゴリーに分類されています。

言葉の理解と話す能力は正常なのに「人・場所・活動」の3要素によって状態が変化します。

一般的な場面緘黙の症状は、家では普通に話すのに、学校では教師やクラスメイトとひと言も話せなくなってしまうというものですが、すべての場面で話すことのできない全緘黙、体が思うように動かせない緘動(かんどう)という状態になることもあります。

多くの人が場面緘黙は大人になれば治ると思っているようですが、十分な治療を受けられずに放置され、大人になってしまった方もいます。

日本では500人に1人の割合で存在し、女子に多いといわれています。

場面緘黙症の人の『話せない感覚』というのは、話したくないから話さないのではありません。

いくら話そうと思っても、どうしても言葉が出ない、話す機能が自動的にシャットダウンしてしまう、のどが苦しく詰まってしまうような感覚だといいます。

周りからは「どうしてしゃべらないの?」と聞かれ、大人からは態度が悪いと叱られることもあるそうです。

当事者にしてみれば、本当に声がでなくて話せない状態なのに、話すことを強要されると、ますます不安になり声はでなくなってしまうのです。

日本ではまだ認知度の低い疾患であるために、理解を得ることが難しく、学校ではいじめやからかいの対象に、理解のない教師からは暴言を吐かれることもあるといいます。

場面緘黙症の子どもはおとなしく、教室でも特に問題を起こすことはないので、真面目とか、優等生とも思われがちです。

しかし、実際は学校に行かないと授業についていけなくなるから休めない、友達に「ノート見せて」なんていえないから、「わからないところを教えて」なんて言えないからという気持ちがあるそうです。

忘れ物をして、友達に気軽に「貸して」なんていえないから、忘れ物しないようにいつも気をつけていたという方もいます。

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場面緘黙は大人になったら治るは嘘

場面緘黙は大人になれば治ると思っている人は多いと思いますが、全員がそうではありません。

場面緘黙だった子どもは、転校や、クラス替えを通して、今までの自分を変えよう、話そうと願っています。

しゃべれないことを叱責せずに理解してくれる教師や、話しかけてくれる友達によって話せるようになる場合もあります。

音楽などで自分を表現したり、打ち込めるものを見つけてだんだんと場面緘黙が治っていく場合もあります。

しかし、環境が変るとまたもとの状態に戻ってしまうこともあり、治療は簡単ではないようです。

場面緘黙は周囲の理解が得られ、早く回復できた人ほどコミュニケーションに問題なく社会生活を送れます。

ほとんど支援を受けずに成長した場合には、コミュニケーション能力や社交スキルを学べないまま大人になり、環境や人が変るたびに挫折する可能性があります。

人と話せない期間が長期化すると、うつ病や社会不安障害などの二次的な精神疾患が発症するリスクも高くなるため、場面緘黙を放置するのではなく、早期発見と早期支援が重要だといわれています。

学校などでは少しずつ啓発が進んでいますが、その一方で大人の当事者への支援は遅れており、当事者同士の情報共有も不十分なところがあります。

孤立しやすい大人の場面緘黙者が、10年も20年もひきこもってしまうことも少なくないそうです。

場面緘黙の当事者と家族に向けて、場面緘黙症に苦しんできた来た当事者や家族、支援者により支援団体も立ち上げられています。

かんもくネット

大人の場面緘黙の人と仕事

大人の場面緘黙の方は、就労を考えなければならない年齢になったときに、仕事に支障が出るのではないかと心配される方が多いようです。

第一の関門は、就職活動には必ず面接試験があります。

面接でうまく話せないと採用されない可能性が大きいです。

正社員での就職が難しく、アルバイトとして仕事をすることになるかもしれません。

障害者枠での就労も可能ですが、仕事が長く続かない人が多いようです。

他人と話ができない状態で仕事を見つけるのは本当に難しいことだと思いますが、大人の場面緘黙の人はどのような仕事についているでしょうか。

どのような仕事も、職場では人との会話、コミュニケーションをとる必要があるので、場面緘黙の方はできるだけ人と接する必要のない仕事、得意分野を生かす仕事を考えている方が多いようです。

非言語的なコミュニケーション(身振り手振り、うなずく、筆談、タブレットを使った意思伝達など)を受け入れてくれる職場の理解があれば、場面緘黙の方も仕事をすることが可能です。
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大人の場面緘黙の人がやってみた仕事、向いている仕事

・ホテルのベッドメイキング

・お掃除の仕事

・心療内科の受付

・漫画家

・作家

・モデル

・図書館司書

・プログラマー

・在宅ワーク

・調理師

・翻訳家

・工場での流れ作業

・ボールペンの組み立て

・クリーニング

・ビルメンテナンス

・システムエンジニア

・学者

・芸術家

場面緘黙の人が受けられる社会的支援

場面緘黙症と福祉手帳

場面緘黙症の方が福祉手帳の申請をできるところもあるので、各自治体の福祉課に問い合わせてみましょう。

福祉手帳があると、障害者枠で仕事を探すことができます。

最近、場面緘黙の方たちがハローワークに相談し、精神障害者の認定を得て、障害者雇用枠で就労したケースも増えているといいます。

障害者差別解消法によって義務付けが進む合理的配慮

2016年4月1日から、行政機関や事業者には、障害のある人に対する合理的配慮を可能な限り提供することが求められるようになりました。

例えば、読み書きが困難な方には、タブレットや音声読み上げソフトを使用する、指示や理解が困難な方には、イラストや文章で説明する、疲労や緊張の強い方のために、就労時間を調整したり、休息スペースを設けたりする、身体が不自由な方にはスロープや、エレベーターを設置するなどです。

事業者は、採用応募者や従業員に対して、以下の3つの観点から合理的配慮を行うことが求められます。

1.採用/応募に関する配慮
例) 募集内容を音声等で提供する、面接に就労支援機関の職員等の同席を認める
2.作業/職場環境への配慮
例) 図示やメモで業務を分かりやすく整理する、サングラスやイヤホン着用を認める
3.福利厚生/研修待遇などに関する配慮
例) 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮する。研修に手話通訳を設ける

ここでの障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害がある者であって、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあることです。

まとめ

場面緘黙の子どもや、大人が抱える悩み、苦労はなかなか外部の人には伝わりません。

場面緘黙の方が仕事をするには、周りの理解なしには到底難しいことだったと思います。

知的能力には問題がなくても、対人関係において困難な状況に置かれることが多かった場面緘黙の方たちは、自分の意思ではどうにもならない『話せない』という特性のために、長い間心に傷を受けてきました。

少しずつ世間にも場面緘黙が知られるようになり、彼らの『自分たちの声』が届くようになってきています。

場面緘黙の方たちにできる仕事も増えてくると思います。

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