広汎性発達障害の子どもは友達がいない!?

広汎性発達障害の子どもと、その親が悩む問題の一つに友達との付き合い方があります。

特に知的障害のないアスペルガー症候群、高機能自閉症、特定不能の広汎性発達障害の子どもが必ず通らないといけない道ですよね。

コミュニケーションを苦手とする広汎性発達障害の子どもたちへどうアドバイスすればよいでしょう。

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定型発達の人にはない広汎性発達障害の特性

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ウイングの三つ組みといわれる社会性、コミュニケーション、想像力の特徴は広汎性発達障害の診断基準になっており、対人関係のあり方は孤立群、受動群、積極奇異群のグループに分けられます。

社会性の特徴では孤立群は他人や物事への関心が乏しい、受動群は言われたことに従いやすいタイプで問題行動が少ない、積極奇異群は相手に対して自分の興味関心のあることを一方的に話すなどの特徴があります。

また、自分の興味の対象には深い関心を向けることが多く、他人が物事をどうとらえ、どのように見ているかということを理解しにくいという面もあります。

コミュニケーションの特徴では自分の意思を明確に伝えられない、相手の言葉が理解ができない、冗談や言ってはいけない言葉の使い分けができない、視線で気持ちを伝えたり指差しで情報をやり取りするといった非言語的なコミュニケーションの困難さが見られます。

また、人に伝える意図をもたない独り言、一方的な発話、エコラリアがしばしば見られます。

想像力の障害では、目に見えない事柄(時間、空間、情報、習慣、感情、未来の可能性など)について頭の中で想像する能力が独特で、その結果柔軟性に乏しい行動パターンが現れます。

パターン化した行動、周囲に奇妙な印象を与えるほどの物への執着、新しいことになかなか手をつけない、予想外の出来事にパニックを起こすなど強いこだわりとなって現れることがあります。

一度に複数のことを処理できないため、複数の人との会話や団体行動が苦手なこともあります。

その他の特性としては、ほとんどの人が感覚過敏を持っているので不安、恐れ、不快感を抱きやすいようです。

定型発達の人にはなんでもない些細な音、臭い、感触、明るさ等が広汎性発達障害の人には強い刺激になります。

これらの特性は広汎性発達障害の子どものパニックやキレる原因になり、周囲の人にはわがまま、変った子、空気の読めない子という印象を与えてしまうことになります。

手先が不器用な子、体力がなく運動が苦手なこともあります。

言語理解に遅れが見られないアスペルガー症候群、高機能自閉症、特定不能の広汎性発達障害の人は、これらのことから友達ができない、からかいやいじめの対象になる、障害に理解のない教師から叱られるということが多いようです。

友達をつくるためにはまずは小さな成功体験から

広汎性発達障害の特性をどのような形で、どの程度有しているかは個人差があり、同じ診断名であっても障害の程度、特性の現れ方は様々なので、対応の仕方も1人1人違ったものになります。

他人に関心を示さない子、積極的にみんなの中に入っていく子、怖がりな子、おとなしい子、乱暴な子もいれば、知的水準、知覚過敏、偏食、こだわりが1人1人違うからです。

相手の気持ちが理解できないというのは、その場にふさわしい態度や言動がわからないということにも繋がります。

定型発達の子どもは成長と共に体得していくのですが、広汎性発達障害の子どもは幼少のころからそのことができないために親から叱られることが多く、否定的な対応を受けて育ちます。

この世のあらゆることが広汎性発達障害の子どもにとっては恐怖の対象になりえるのです。

それらの体験の積み重ねは自分はできない子、だめな子というセルフイメージの低下をもたらし、更に周りとの関係を良くないものにしてしまいます。

学童期にはからかいやいじめの対象になりやすく、不登校、無気力やうつ状態など二次的障害にもなりかねません。

問題行動やできないことを叱るだけではなく、できることを見つけてあげることは大切です。

広汎性発達障害の特性を周りの親、教師、友達が理解し、小さな成功体験を増やしてあげることが将来の自信につながっていくでしょう。

相手の表情を見て気持ちを理解することが苦手なため、言葉でいくら説明してもその真意は伝わりにくいです。

物事の善悪、気持ちの表現方法などは絵カードや文字など視覚的なツールを用い、指示は曖昧な言い回しではなく具体的にしましょう。

社会のルールを教えるのにはソーシャルスキルトレーニングを用いるのも良い方法です。

先のことに見通しが持てない、わからないと不安になるというのも広汎性発達障害の特性の一つです。

その日のスケジュールを視覚化してあげる、変更があったら指導者が絵や図で提示するなど、落ち着いて対応してあげれば理解できることが多いです。

突然の変更、大声で怒鳴る、長々と話をする、以前の話を持ち出すなどはNGです。

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広汎性発達障害の子どもが良好な友達関係を築くためにできること

友達との関係を広げるためには、はじめは友達との遊びに入れるように支援者が間に入り働きかけていきます。

・学校でトラブルが起こったとき、先生と生徒が一緒に考える。

・子どもの言いたいことや気持ちを確認し代弁してあげる。

・相手の振る舞いや顔の表情などから、相手の感情、気持ちを教えてあげる。

・子どもの得意分野、長所を見つけてあげ、その子の自尊心を育て、周りからの評価を高める。

広汎性発達障害の子どもはどちらかというと根が真面目で、定型発達の人がさらっと受け流してしまえるようなことができないことがあります。

・物事にいちいち真面目に反応してしまうタイプには、受け流すことをおしえてあげる。

・言葉をそのまま受け止めてしまう子どもには、言葉の意味を説明する。

感覚や刺激、好きなものや嫌いなものは個人差が大きい部分なので、できれば事前に情報を集めておきます。

常同行動、突然泣き出す、自傷行為、他害行為、不適切な行動の背景には、感覚過敏やフラッシュバックなどが関与している場合があります。

・苦手な感覚刺激(大きな音や環境の変化)に対する対処を教えたり、その原因を取り除いてあげる。

・ひとりになれる空間、静かな場所、お気に入りのものなどを準備しておく。

学校での友達付き合いは、担任の先生の存在がとても大きいといっても過言ではありません。

経験上、担任の先生が広汎性発達障害の子どもをどう扱うのかによって、クラスの友達の対応が違ってきます。

教師が広汎性発達障害に対する理解があり、子どもに関心を注いでくれるなら、クラスの友達も関心を持ち支援してくれますが、教師が問題児扱いしたり無視するなら、クラスの友達もそのように扱うからです。

高機能の広汎性発達障害の子どもは支援学級に在籍できないこともあります。

学年が上がるたび、担任が変るたびに子どもの状況を詳しく伝えること、まめに連絡を取り合うこと、理解を得られるように働きかけていくことも必要だと思います。

まとめ

広汎性発達障害といわれる子ども(人)には様々なタイプがあり、もちろん友達がいない子ばかりではありません。

定型発達の子どもと共通の目的、趣味があれば共有できるし、成績優秀な子、才能のある子は周りから良い評価を得ることができますが、自分は友達がいないと悩んでいる子供も少なくありません。

からかいやいじめの対象になる子どもも多く、不登校で外来を訪れる子どもは発達障害である場合が多いといいます。

子どもが苦しんでいる姿を見守る親は、胸が張り裂けそうに切ない思いになります。

広汎性発達障害の子どもは物事の全体像を見ることができずに偏った考えをしてしまうことから、彼らの態度や行動がわからない人から誤解されやすいのでしょう。

定型発達の親や教師、友達が関心を向けてくださると、広汎性発達障害の子供たちがもっとのびのびと生活していけるのではないかと思います。

高機能の広汎性発達障害は発見も遅れ、十分な支援が受けられないまま大人になる人も少なくありません。

その期間が長いほど二次障害を起こして人生を遠回りしてしまうことがあり、そういう大人の方も多数いらっしゃるのです。

発達障害に対して正しい理解をしてくださる方が増えるように、当事者や親が適切な支援が受けられる環境が作られるようお願いします。

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