広汎性発達障害とADHDの違いと併存

日本の発達障害の診断基準は、アメリカ精神医学会の診断基準DSMと、国際疾病分類のICD-10に基づいています。

DSMは2013年5月に19年ぶりに改定され、今まで「広汎性発達障害」とよばれていたものが、「自閉症スペクトラム」というひとつの診断名に統合されるようになりました。

今まで広汎性発達障害とADHDは別々の診断名でしたが、改定された診断基準では広汎性発達障害とADHDの発達障害同士の併存を認めるようになったようです。

スポンサードリンク



発達障害の診断基準となるDSMの改定

a0002_005946

DSM(精神障害の診断と統計の手引き:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は、精神障害の分類のための共通言語と標準的な基準を提示するものです。

以前は国際的な診断基準がなかったため、国によって診断の不一致が見られたといいます。

DSMの第3版より、明確な診断基準を設けるようになり、DSMは、ICD(疾病および関連保険問題の国際統計分類)とともに国際的に広く用いられています。

このDSMは改定を重ね、1994年に「DSM-IV」、2013年に「DSM-5」に改定されました。

この改訂によって、広汎性発達障害は「自閉症スペクトラム障害」としてまとめられ、これまでのアスペルガー症候群や自閉症などの区別は廃止されました。

障害の程度によって現れる特徴が重複していたり、その特徴は広範囲に及ぶので、自閉症、アスペルガー症候群は一つの連続体(スペクトラム)に含まれると見るようです。

この改定によって、今後現場ではアスペルガー症候群や自閉症などのカテゴリーが無くなるのでは?と話題にもなりました。

広汎性発達障害(アスペルガー症候群)とADHDの特徴について

アスペルガー症候群は知的な遅れはありませんが、興味・コミュニケーションについて特異性が認められる、広汎性発達障害の一つであると定義されてきました。

アスペルガーの人によく見られる特徴は次のとおりです。

・アスペルガー症候群は性別との相関関係があり、男性に多いといわれている。

・興味をもった対象に対してきわめて強い、偏執的ともいえる水準での集中を伴うことがあり、大量の情報を記憶することがある。

・順序だったもの、規則的なものを好む。

・数字に強い

・予測不可能なもの、不合理なものは苦手。

・音、匂いに敏感だったり、あるいは接触されることを好まなかったりする。

・言われたことをそのまま真に受けることが多い。

・相手の表情を読みとることができないので、空気が読めないと言われやすい。

・一度に複数のことができない

・手先が不器用なことがある

・パーソナリティ障害になりやすい

ADHDは、多動性(過活動)、不注意(注意障害)、衝動性の特徴をもつ神経発達症、または行動障害であると定義されます。

・注意力が散漫である。

・時間感覚がずれている。

・様々な情報をまとめることが苦手。

・片づけができない。

・相手の話が終わらないうちにしゃべり始める。

・飽きっぽく、一つのことが長続きしない。

・空想に浸る

・ひとつのことに没頭してしまう

・方向音痴

・右と左を区別するのに時間がかかる

・ストレスに対する耐性が非常に弱い

・チック症、爪を噛む、抜毛癖、貧乏ゆすりがある

・周りの雑音が無差別に脳に入ってくる

・興味のないことには集中できない

ADHDの多動性は年齢が上がるにつれ減少するため、子供の病気であると思われていましたが、大人になってADHDの診断を受ける人も増えています。

大人のADHDは、多動性よりも感情的な衝動性や注意力や集中力の欠如がみられるので、ADD(注意欠陥障害)とも呼ばれます。

広汎性発達障害(アスペルガー症候群)とADHDの違いと併存について

これまでの診断基準では、アスペルガー症候群とADHDの併存はありませんでした。

1人の人に対してどちらか1つの診断をつけるように定められていましたが、臨床的にはどちらの特徴も重複して持っている人が多かったので、アスペルガー症候群とADHDにも併存があるのではないかと言われてきました。

一人の人がある病院ではアスペルガー症候群と診断され、別の病院ではADHDと診断されることがありました。

どちらの発達障害の特徴がより多いかによって、診断結果が出されていたのでばらつきがあったようです。

DSM-5の改定によって、アスペルガー症候群とADHDの併記が可能になるといわれています。

しかし、この判断についてもいろいろな意見があるらしく、双方に併存は認められないと言う意見も少なくありません。

スポンサードリンク



マニュアルどおりに行かない発達障害の診断の難しさ

発達障害には自閉症やアスペルガー症候群、ADHD、学習障害などありますが、自閉症やアスペルガーはこの症状、ADHDはこの症状と、はっきり線を引くことができません。

アスペルガー症候群と診断されたものの、ADHDの特徴である落着きのなさを持ち合わせている子供はいるし、ADHDの診断を受けたものの、読字障害を持つこともあります。

自閉症とADHDの複数の特徴がある場合も、知的な遅れが見られると診断名は精神遅滞になります。

発達障害を表す図表を見るとよくわかりますが、広汎性発達障害とADHDと学習障害はお互いに重なる部分を持っていて、また、年齢と共に現れてくる特徴が変ってくることがあるので、診断が難しいといわれるのだと思います。

しかし医師によっては、アスペルガーとADHDははっきりと分けるべきだ。

明確に違う障害なので、併存はありえないと主張する方も少なくないそうです。

アスペルガー症候群とADHDは、どちらも知的な遅れは見られず、落ち着きがない、空気が読めない人などといわれ、混同されやい障害といわれています。

新しい診断基準では発達障害同士の併存が認められることになりました。

そのことによって、アスペルガー症候群とADHDの両方の特徴を参考にでき、今まで困難だったことを、よりよい方向に改善していくことができるという意見があります。

今までばらつきのあった診断が減ってくるのではないかという期待も高まっています。

まとめ

広汎性発達障害(アスペルガー症候群)の子供と、ADHDの子供とでは支援の方法が違います

発達障害の診察を受けるときは、発達障害を正しく診断してくれる専門の医師に診てもらうことが大切です。

近年、脳科学の研究も進んでいるので、発達障害に対する情報もどんどん新しくなっています。

発達障害を診断する専門の医師が足りないといわれていますが、親や教師も病院まかせにしないで、発達障害の様々な情報をキャッチできるようにしておきましょう。

発達障害は同じ診断名であっても、全く同じ特徴が現れるわけではないし、その子の性格や好みは全く違います。

静かな環境を好む子もいれば、社交的な子もいるし、理系が得意な子もいれば、芸術面に才能を持つ子もいます。

わが子にはどんな支援をしてあげればいいのか、どのような環境が適しているのかは、親や教師が導いてあげなければなりません。

小学校のときは、卒業後なんてまだ先の話だよねと思っていると、中学、高校はあっという間に過ぎていきますよ。

わが子の将来をどうするのか、卒業後の進路をどうするのか、5年後、10年後のことも考えておきましょう。

大人になってから大変な思いをするより、子供のときから適切な支援を受けられる方がいいのです。

スポンサードリンク



コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ