広汎性発達障害における知的障害と精神遅滞の違いについて

広汎性発達障害には、知的障害が見られるものと見られないものがありますが、病院では知的障害ではなく精神遅滞といわれることがあります。

精神遅滞は知的障害と同じような用語なのですが、この違いがわかりますか?

広汎性発達障害における知的障害と精神遅滞の違いを見ていきましょう。

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知的障害と精神遅滞の違いについて

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一般に知的障害と精神遅滞は同義語として扱われています。

学校教育法上の用語で『知的障害』を使い、医学上の用語で『精神遅滞』を使うそうです。

日本では1950年代までは精神薄弱という用語が使われていましたが、精神という言葉は人格も含むうえ、精神障害と混同されやすいため、知的障害という用語が使われるようになりました。

昔は重度の知的障害を「白痴」、中度の知的障害を「痴愚(ちぐ)」、軽度の知的障害を「魯鈍・軽愚(ろどん、けいぐ)」と呼称されていた時期があり、これらの用語は偏見を煽るとして「重度」「中度」「軽度」という用語に改められたそうです。

発語やことばの理解、認識する力や状況を判断する力などの知的な能力が、年齢に比べて全般的に遅れていること、発達期(おおむね18歳未満)で生じていること、社会生活をしていく上で支援が必要な状態を精神遅滞(知的障害)といいます。

診断は心理発達テストで評価され、IQ20以下を最重度、IQ35以下を重度、IQ50以下を中度、IQ70以下を軽度、IQ70~85は境界領域と呼ばれます。

認知症、事故や怪我の後遺症による障害など、発達期以降の知能の低下は精神遅滞(知的障害)には含まれません。

厳密な医学的分類では精神遅滞と知的障害を使い分けることもあるそうですが、一般的には同義語と考えて差し支えないようです。

現在では教育分野、行政、マスコミなどでは「知的障害」、医学関係では「精神遅滞」と呼ばれると覚えておけばいいでしょう。

広汎性発達障害の子供が医療機関で精神遅滞といわれたら、知的障害があるということになります。

診断名や用語は、呼び方も複数あり紛らわしいですね。

広汎性発達障害には知的障害(精神遅滞)の有るものと無いものがある

広汎性発達障害は近年自閉症スペクトラムとも呼ばれるようになりました。

自閉症、レット症候群、小児期崩壊性障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症、特定不能の広汎性発達障害等が含まれます。

広汎性発達障害は障害の程度により症例が多彩で、1人が複数の障害を持つこともあります。

重度の自閉症から知的障害のない健常者までの間にはっきりとした境界はなく、虹のように連続体に含まれるという意味です。

自閉症

(クリックすると拡大されます)

知的障害(精神遅滞)のある自閉症の人は言葉の遅れが見られ、身辺自立ができないので、常に誰かの支援を必要とします。

知的障害のないアスペルガー症候群、高機能自閉症、特定不能の広汎性発達障害の人は日常生活に困ることはないので、常に誰かの支援が必要ということはありません。

広汎性発達障害は社会性、コミュニケーション、イマジネーションに特徴をもち、定型発達の人とは違う情報処理の仕方をすることがわかっています。

①社会性の特徴

・自分の興味のあることに深い関心を向ける

・自分の興味のないことには無頓着

・物事の全体像を見ることが苦手

・車の数字や電話番号を覚えることが得意

・記憶力がよい

・まじめな性格

・小さいころは多動、落着きがない

②コミュニケーションの特徴

・言葉の遅れがある

・オウム返しをする

・思ったままを言葉に出すので、相手を傷つけることが多い

・自分の関心ごとを一方的に話す

・ことばのキャッチボールが苦手

・曖昧な言葉や冗談が理解できない

・相手の気持ちを読み取れない

・3人以上の会話に入れない

③イマジネーションの特徴

・未来のことを予測できない

・突然予定が変更するとパニックになる

・未知のことに不安や心配を抱く

・自分で計画を立てて行うことは苦手

・臨機応変な対応ができない

・1度に複数のことができない

④強いこだわり、感覚過敏がある

・大勢の人の声や、騒がしい音が苦手

・服を脱いでしまう

・特定の味や臭いに不快感を示す

・物がゆがんで見える、日光や蛍光灯の光が強い刺激になってしまう

・物が定位置にないと気がすまない

・ストレスを受け癇癪をおこす、自傷行為のある子供もいる

・痛みに鈍感なこともある

・睡眠障害がある

広汎性発達障害は個人により現れる特徴は違いますが、適切な支援を必要とする障害で、早期発見、早期療育が願われています。

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広汎性発達障害に知的障害(精神遅滞)があるとき受けられる各種の援助

広汎性発達障害で知的障害(精神遅滞)がある人は、都道府県知事または政令指定都市が発行する療育手帳を申請することができ、各種の援助措置を受けることができます。

療育手帳の区分は各自治体の独自制度で決定され、自治体によって区分の呼び名や、判定基準に若干の違いがあります。

【障害判定区分の例(千葉県の場合)】

最重度域-Ⓐ

重度域-Aの1、Aの2(中度の知的障害と身体障害者手帳の1~3級)

中度域-Bの1

軽度域-Bの2

療育手帳の区分の判定は、知能検査の結果と本人や家族からの生活状況の聞き取りをもとに、会議で決定されます。

特別支援学校に入学、転入ができ、学校を卒業後は障害者枠での就職が可能です。

知的障害があることは、大きなハンディキャップを背負っていることになりますが、将来に向けてどのような支援をしていくかが大切になります。

受けられる支援はすべて利用していきましょう。

知的障害(精神遅滞)のない軽度の広汎性発達障害の人の支援が遅れている

知的障害(精神遅滞)のない広汎性発達障害の子どもは、普通の小学校、中学校に進んでいきますが、障害が軽度であるだけに本人や家族も気づかないまま大人になることがあります。

大人になっていく過程で、定型発達の子とは違う自分を感じながら、周りと合わせられないことでストレスを感じていることが多いそうです。

コミュニケーションで相手に悪い印象を与えてしまうこともあり、いじめやからかいの対象になることもあります。

不登校やひきこもりになってしまい、精神科外来に相談に来る子どもは、発達障害であることが多いのです。

大人になってから広汎性発達障害、ADHD、LD等の発達障害に気づく人がいますが、彼らは自分の特性を知らずに社会にでて、適応障害を起こしてしまうケースが多いといいます。

大学を出るほどの優秀な人が、就職したら仕事をすることができなくて、広汎性発達障害だということがわかり、就労支援センターに通うということはよくあります。

軽度の広汎性発達障害の人が本当に大変になるのは学校を卒業して社会にでるようになってからです。

早い時期に気づいて、障害の特性を知り、苦手な分野と得意な分野を知っておくと、進路決定する時にも役立つと思います。

まとめ

自閉症と広汎性発達障害の違い、知的障害と精神遅滞ってどう違うの?と思う人は多いのではないでしょうか。

私も始めは何のことかわからなかった一人です。

いろいろ調べていくうちに整理されてくるのですが、医学用語は一般にはあまり知られていないし、診断基準が変れば診断名も変るので紛らわしい部分でもあります。

同じ自閉症でも、問題行動やこだわる部分は人それぞれで、何が向いているのか、どんなことができるのかも未知数です。

重度の障害があっても、自分のできることで、自分の得意分野を見つけて社会に貢献することができます。

症状が1人1人違うので理解されにくい障害でもありますが、周りが発達障害に関心を持ち、温かい理解を示してくださると、彼らと彼らの家族がもっと気を楽にできるのではないかと思います。

毎年4月2日は世界自閉症啓発デーです。

http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

多くの方が関心を向けてくださると嬉しいです。

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