広汎性発達障害と殺人や性犯罪との関連性

動機がよく分からない、誰でもよかったという無差別の殺人事件や性犯罪が起こると世間の注目が集まります。

そのような事件の加害者が広汎性発達障害(アスペルガー症候群)であったということが時々ニュースになります。

また、そのような事件が起こると加害者は発達障害ではないかとうわさが広まります。

なぜ広汎性発達障害の人は事件に関わるようになってしまうのでしょうか。

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広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と殺人と性犯罪

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普通では考えられない性犯罪や、猟奇的殺人事件の容疑者が発達障害らしいというニュースを聞くと、広汎性発達障害の子どもを持つ親としてはドキッとします。

このような内容をあまり話題にしたくはなかったのですが、実際に事件が起こっているのでどんな事件があったのかググってみました。

『アスペルガー症候群の難題』(井出草平)という本では冒頭に[アスペルガー症候群、もしくはそれに準じる精神鑑定や診断が出された犯罪]として、29の事件リストが掲載されています。

まだ記憶に新しい佐世保女子高生殺害事件の容疑者がアスペルガー症候群だったとし、定型発達の人に比べてアスペルガー症候群患者では犯罪を犯す人の割合が高い可能性が考えられるという内容が書かれています。

この本では知的障害のない自閉症スペクトラム障害をアスペルガー症候群として用いています。

『アスペルガー症候群の難題』の著者は、本の中でアスペルガー症候群のうち犯罪を犯すものは数%から1割程度にしか過ぎず、アスペルガー症候群の一般人口における割合は0.5%程度であることを考慮すると、社会的な影響が著しく高いわけではないことも説明しています。

過去にこのような事件があったことを今回知ったのですが、読む人によっては広汎性発達障害(アスペルガー症候群)への誤解を招くのではと思われました。

広汎性発達障害の人が関わった事件の概要を見ると、加害者を取り巻く家庭環境は複雑で、学校の対応や医療機関との連携もあまり取られていません。

広汎性発達障害の人が適応障害を起こして精神的に不安定になり、結果的にこのような事件が起こってしまったと思うのですが、通常では考えられない事件であり、加害者が未成年者であることも世間の注目を集めるのでしょう。

一方、発達障害と性非行および性犯罪に関する医学論文は、国内では3件、国外では6件と少ないそうです。

発達障害者の犯罪は、彼らの特性と、彼らを取り巻く否定的な環境要因が、反社会的行動に追い込んでしまう可能性があります。

広汎性発達障害の人が殺人事件を起こすようになるまでの背景と家庭環境

まだ記憶に新しい佐世保女子高生殺害事件の加害者もアスペルガー症候群だといわれています。

2014年7月に起こったこの事件の被害者は、市内の公立高校に通う女子生徒、加害者は同級生の女子生徒です。

加害者は「体の中を見たかった」「人を殺して解体してみたかった」などと供述し、犯行を認めるものの、受け答えは淡々として反省の様子は見られなかったといいます。

この少女は裕福な家庭に生まれ、成績もスポーツも優秀で、両親も社会的立場は立派な方ですが、過去に様々な問題を起こし、精神科にもかかっていた経歴があります。

母親が亡くなった直後に父親が再婚し、女子高生が一人暮らしをしていました。

この痛ましい殺人事件が起こるまでには、いくつもの複雑な要因が重なっています。

女子生徒は成績優秀でありながら、小学校の頃から深刻な問題行動が見られました。

超エリートで社会的地位もあり、外部への活動に熱心だった両親からは何を学んだのでしょう。

彼女は物事の善悪を理解しておらず、命の大切さを教えられていませんでした。

容疑者がアスペルガー症候群だから、特異な感性を持っているから殺人事件の引き金になったというよりは、彼女をそこまで追い込んでしまった大人たちに責任があったのではと思える事件です。

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広汎性発達障害者が殺人や性犯罪という悲しい事件を起こさないようにするために

このような事件が世間を騒がせるたび、発達障害の子供をもつ親は、子供を犯罪者にしないためにどうしたらよいか考えています。

広汎性発達障害は人の気持や思考を読むことが苦手で、独特な捉えかたをするため常識に囚われない発想をする傾向があります。

成長過程でそれが理解されず、からかいやいじめの対象になることもあり、不登校やひきこもり、反社会的な人格形成に繋がることもあります。

そうならないために病院に通い、問題行動がなくなるように療育を受け、もっと他の方法はないかと模索しています。

試行錯誤の中でやっていくうちに、好ましい結果が現れて安心したと思っていたら、また他の問題行動が現れて悩むというようなことを繰り返しています。

それは一年がんばったから終わるというものではなく、ずっと付き合っていくものなのです。

発達障害に対しての取り組みは地域によっても大きく違います。

発達障害の対策に積極的に取り組んでいる地域は、就学前の段階で発見し、その子供が周囲の子供とすごしやすい環境を整え、指導する側も接し方をよく心得ているといいます。

そういう地道な積み重ねがあると、周りも受け入れる姿勢があるので発達障害の子供はだんだんと社会性を身につけ成長することができるのです。

そのような環境に恵まれず、発達障害に気づかないまま大人になり、様々な要因が重なり二次障害をひき起こすこともあります。

アスペルガーの人が殺人や性犯罪などの事件を引き起こす前には、医療機関を受診していることも認められていますが、本人の悩みや問題を解決する十分な助けにはなっていないようです。

広汎性発達障害の触法行為に対して有効な治療方針がないのです。

問題が起こったときに、そのような大人を受け入れる受け皿がないというのが今の社会の現状です。

関連記事:http://diamond.jp/articles/-/22838

広汎性発達障害と殺人や性犯罪を結びつけるメディアの対応

メディアは視聴率をいかに上げるかということを第一に考えています。

先の佐世保女子高生殺害事件の時もテレビで連日放送されていました。

事件を掘り下げると様々なことが浮き彫りにされ、視聴者は関心を持ちます。

加害者がアスペルガー症候群だったとわかると、過去の事件にまで遡ってアスペルガー症候群は危険因子だと世間に知らせることになりました。

広汎性発達障害についてよく知らない人たちが、自分達の感じるままの意見を述べていますが、マスメディアの情報だけを鵜呑みにするのは危険です。

このような犯罪は発達障害が直接の原因というよりは、複数の要因が絡み合っています。

このような殺人および性犯罪などの不幸な事件の再発防止を願うのであば、社会全体が発達障害に対して正しい認識を持つような情報を流すことに力を使ってほしいと思います。

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まとめ

発達障害者支援法が制定され、特別支援教育が本格的に実施されるようになってから、発達障害に対する取り組みも行われるようになったといわれます。

しかし、今も発達障害に対する世間の認識はとても否定的で、間違った捉えかたをしている人も多いと思います。

発達障害者が反社会的行動を起こす前に、彼らが間違った方向に行かないように導いてあげる社会環境を整えていかねばなりません。

広汎性発達障害の人は殺人や性犯罪の加害者になりうる可能性がないとはいえませんが、彼らの周りに理解者がいて、得意分野を生かせる環境に恵まれていたなら、社会に貢献できる才能を持っているのです。

家庭において、教育の現場において、学校を卒業後、親が亡き後の受け入れ体制まで整うようになる時、発達障害は犯罪を引き起こしやすいという誤解が解けるのかなと思います。

最後に、これらの事件の被害者の方のご冥福、およびご遺族の方々へ慎んでお悔やみ申し上げます。

こちらの記事もご覧ください ⇒広汎性発達障害の子供の診断とチェックリスト

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3 Responses to “広汎性発達障害と殺人や性犯罪との関連性”

  1. […] http://xn--cct58d99as4zbmmsy1bvgj.biz/%E6%AE%B… →2016年2月9日 … まだ記憶に新しい佐世保女子高生殺害事件の容疑者がアスペルガー症候群だったとし 、平均的な人々に比べてアスペルガー症候群患者では犯罪を犯す … […]

  2. アスペルガーの犯罪者について より:

    アスペルガーの会社の同僚がいたけど、結構悲惨な症状だった。人づきあいはおろか、人に対して、不気味なほど失礼きわまりない態度をくりかえしては、まわりから嫌われていた気がする。顔の表情づくりも、不自然で、違和感があった。ナチュラルじゃないというか。
    その後、本性と、その特質を全部みせずにその女性が、結婚できたらしいけど、数年かけて変な所がつぎつきと露呈されて、やっぱりというか離婚してしまったみたいで。
    前の会社でも、自分勝手にふるまっていたらしいけど、もう関わりたくない。変人というか。ただただ、まわりが、気を遣うのみ、それがつかれるみたいだ。アスペルガーのまわりは。

    • mina より:

      コメントありがとうございました。
      返信が随分遅くなってしまい申し訳ありません。

      アスペルガーといっても現れる特徴は人によって違うと思います。
      その方の考え方や、性格、育った環境も少なからず影響を及ぼすと思います。
      大人のアスペルガーの人は頭の良い方が多いと聞きますし、その方が自分は全然悪くないと思っていると、かえって周りが振り回されてしまうのでしょうね。
      本人が発達障害の自覚を持っていない場合も多いといいます。
      会社全体に悪影響が出るなら、上司から診察を受けるように勧めてもらうとか、本人も自覚して注意しないといけない部分ですよね。
      お互いが配慮できるようになれば、もう少し見方も変ってくると思うんですけど、大人になるとなかなか難しい部分でもありますね。

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