広汎性発達障害の他害行為と染色体異常
広汎性発達障害の中で、特に知的障害のある人に行動障害が見られます。
行動障害とは爪噛み、睡眠障害、かんしゃく、攻撃行動、自傷行為、他害行為などです。
その原因が染色体領域との連鎖も報告されており、染色体異常の研究に注目が集まっています。
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広汎性発達障害の他害行為には染色体異常が関係している?
広汎性発達障害は社会性やコミュニケーション能力の獲得といった人間の基本的な機能の発達遅滞を特徴としています。
この中には自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、高機能自閉症、特定不能の広汎性発達障害等が含まれます。
標準化された知能検査では、自閉症障害の半数弱において精神遅滞が認められ、約3分の1の症例において成人するまでにてんかん発作が認められます。
主な特徴として言語の発達の遅れ、多動、目を合わせない、対人面での感情的な交流の困難さ、あるいは全くの無関心、反復的な行動を繰り返す、行動様式や興味の対象が極端に狭い、常同的に奇声を発する、手をひらひら動かす等という行動が現れます。
また、ストレスによるかんしゃく、パニックを起こすことがあり、その際に自傷行為や他害行為として現れることもあります。
Lesch-Nyhan(レッシュ・ナイハン)症候群やCornelia de Lange(コルネリア・デランゲ)症候群では、しばしば激しい自傷行為が見られることがあります。
Prader-Willy(プラダー・ウィリー)症候群では自傷行為に加え常同行動や過食などが見られることが多く、XYY症候群では軽度の知的障害、行動障害、多動性、注意欠陥障害等が見られることがあります。
広汎性発達障害の原因は遺伝的要因が大きい
米国の研究では、父親が中高年のときに授かった子供である場合に新生児が自閉症になりやすいという説があります。
同研究によると、父親が40歳以上の新生児は、自閉症や関連の症例が30歳未満の父親の場合の約6倍で、30 – 39歳の父親と比較すると1.5倍以上であったとされています。
広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は60~90%と、二卵性双生児よりも高く、その原因には遺伝要因のしめる割合が大きいと考えられています。
自閉症の原因の一つとされるShank遺伝子は、その結合タンパク質Homerをコードする遺伝子と同時に発現させると、シナプスを巨大化させる働きがあることが知られていました。
HomerがShank同士を結びつけることで網目構造が作られ、シナプス伝達に関与しているのですが、網目構造を作ることができないHomerを神経細胞に発現させると、シナプスが小さくなり、神経信号の伝わる効率は悪くなります。
シナプス機能の異常が自閉症に共通する原因となっていることがわかり、この原因を取り除くことが、自閉症治療につながることが期待されます。
また、精神発達障害を伴う、乳児難治てんかんの原因遺伝子変異を導入したモデルマウスを作製し、このマウスが自閉症に似た社会性の低下と記憶学習の障害を示すことがわかりました。
神経細胞の生存や分化に重要な神経栄養因子の分泌を調節する遺伝子(CAPS2遺伝子)の異常が、自閉症の発症メカニズムに関係しているとの研究成果も発表されています。
脳形態では小脳虫部の体積低下や、発達早期から見られる脳全体の過形成が見られるといいます。
また、他者の考えを推論する能力に関する課題施行時に、賦活部位が健常者と異なることなどが注目されています。
重度の広汎性発達障害には染色体異常のかかわりが大きい
広汎性発達障害と遺伝子の研究が行われるようになり、現時点で100以上の関連がある可能性のある遺伝子が報告されています。
人は22対の常染色体と1対の性染色体、計46本の染色体を持ち、性染色体は女性はX染色体2本で、男性はX染色体とY染色体の2本です。
●Prader-Willy症候群
15番染色体q11-q13の父親由来が欠損するか、または母親染色体ゲノムインプリンティングダイソミーによっておきる遺伝子疾患です。
肥満,低い身長,生後間もなくの筋肉の力の低下などがみられ、言語、精神発達の遅れ、かんしゃく、他害行為、感情の爆発がある,被害妄想的であるなどの行動の問題が生じます。
この染色体異常を再現したモデルマウスが作られ、自閉症の3主徴に相当する行動学的異常を呈するモデルマウスとして注目されています。
●レット症候群
レット症候群の発症率は女児10,000人に1人といわれ、X連鎖優性遺伝で、責任遺伝子がX染色体上のMeCP2であることが明らかにされました。
レット症候群は自閉症やてんかん、失調性歩行、特有の手もみ動作(常同運動)を主徴とする進行性の精神・神経疾患です。
生後しばらくは正常発達をとげるが、乳児期(生後6か月から1歳半)に異常が現れます。
●脆弱X染色体症候群
脆弱X染色体症候群は全人口中1000 – 2500人に1人と頻度の高い疾患です。
X染色体の異常に起因する疾患で、精神発達障害(場合によっては知的障害)、情緒不安定、注意欠陥と多動性、自閉症様の症状が現れ、男性の方が女性より症状が重いと言われています。
X染色体中には脳の発達に必須な遺伝子の一つFMR1遺伝子が含まれ、脆弱X症候群では正常なタンパク質が合成されなくなり、脳の発達に異常をきたすことがわかっています。
X染色体には生命維持に欠かせない神経細胞のネットワーク構築・情報伝達、免疫機能関連遺伝子、血液凝固に関連する遺伝子等が含まれています。
女性はX染色体を2本持っているため、片方のX染色体に異常が生じても、もう一本が失われた遺伝情報を補うようになっていますが、男性はX染色体を1本しか持たないために、X染色体に染色体異常があると、その影響が表面化します。
●Lesch-Nyhan症候群
発症頻度は男児10万人に1人とされています。
X染色体上に存在するHGPRTの遺伝子が働かなくなり、尿酸が体内で過剰に産生されるもので、発症はほぼ男性に限られ、女性の発症例はまれであると言われます(伴性劣性遺伝)。
哺乳異常や発育の不良がみられ、1歳頃に不随意運動、1歳半~2歳頃に自傷行為が現れてきます。
●XYY症候群
ヒトの男性が2本のY染色体を持ち、計47本の染色体を持つ染色体異常です。
出生男児の約1/1000に発生する先天的な疾患群で、スーパー男性症候群、スーパー男性、超男性、Y過剰男性とも呼ばれます。
過去いくつかの犯罪者の中にXYY症候群の男性が認められ、XYY症候群の男性は背が高くて、攻撃的になりやすいという説がありましたが、近年その説は否定されています。
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広汎性発達障害の他害行為への教育的なアプローチ
脳科学や遺伝子の研究がすすんでいますが、原因と脳機能障害のメカニズムが完全に解明されていない現在、最も確実な治療法とされるのが早期発見と療育と特別支援教育です。
広汎性発達障害のある子どもたちは、障害の特性から学習面や社会性・コミュニケーションといった生活面についてさまざまな困難を抱えています。
特に知的障害があると、自分の気持ちをうまく表現することができないので、ストレスを受けるとつい手が出てしまったり、他害行為に及ぶことも多いといえます。
他害行為は許されるものではないものの、力で抑えようとするとかえってひどくなるともいわれていて、小さいうちに適切な対処をしていかなければなりません。
知的障害のある広汎性発達障害の子どもたちは言ってもわからない、できないのではなく、その子供に合わせた支援を行うことで、できることが増えていき、問題行動は減っていきます。
軽度の広汎性発達障害の子供たちは身辺自立はできますが、年齢が上がるにつれ、友達との関係や生活面で直面する難しさは増えていきます。
広汎性発達障害の子供たちが抱えている生きづらさは、発見が早いほど、療育に早く取り組むほど、社会に適応できるようになっていきます。
特に保育園や幼稚園に入る前は1日の大半を各家庭で過ごすことになるため、家庭環境を整えることは子供の成長を促す上でとても大切になります。
まとめ
広汎性発達障害、特に自閉症関連の研究が発表されると、自閉症患者の家族から“いつ治るようになりますか”という電話や手紙が研究員のもとにたくさん寄せられるのだそうです。
具体的な治療段階になるには時間がかかると思いますが、未来の世界では普通に遺伝子検査が行われ、染色体異常についても明らかになるのではないでしょうか。
広汎性発達障害の行動障害については、当事者も家族も大変な思いをしています。
特に他人に危害を加えてしまう他害行為は何とかしてやめさせなくてはと思っています。
染色体異常が解明されてくれば、将来起こるかもしれないリスクを回避することができるかもしれませんね。
遺伝子検査をすると、かかりやすい癌や生活習慣病を予想できるということや、体質や性格などの傾向もわかるということで、最近は将来の健康や結婚を考える人たちに人気があるそうです。
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