吃音者の苦悩と広汎性発達障害

吃音(きつおん)とは、一般に「どもる」といわれる話し方のことです。

DSM-5において、吃音は神経発達障害群という一般に知られる発達障害、広汎性発達障害、ADHD、LD、運動チック、音声チック、協調運動障害と同様の枠に分類されるようになりました。

吃音は2歳前後で発生することが多く、成人では0.8〜1.2%、学齢期の子供で約1.2%、5歳までの子供では約5%が吃音者であるといわれています。

スポンサードリンク



吃音と広汎性発達障害の併発もある

-shared-img-thumb-N934_sarari-mannishindanOK_TP_V

戦後一時期まで、吃音は、精神的な緊張に起因すると一面的に理解されてきた歴史があります。

ある種の吃音の原因は、てんかんや右脳が正常に機能しない聴覚機能不全、痙攣性発声障害が原因といわれ、治療が行われています。

また、吃音には条件反射付けが影響しているとする説もあります。

遺伝が関係している可能性、脳機能障害の可能性にくわえて、不安や緊張、ストレスなどの心理的影響、家庭環境、好ましくない言語環境などが加わると吃音が発生することがあるともいわれます。

父親や母親が厳格で躾が厳しいとその子供は吃音になり易いといわれていたり、いじめなども関係しているといわれます。

3:1で男子に多いとされています。

1991年には吃音になりやすい体質を持っている子供は発症しやすいということがわかり、2011年には吃音の原因の遺伝子が発見されました。

2000年前後から、吃音は脳神経の機能不全によるものという脳神経科学の視座から研究が進み、『脳機能障害』であるとの見解が出てきています。

今は体質、DNA、脳機能、急激な言語発達の副産物であるという見解が有力です。

広汎性発達障害、ADHDやLDの人達の中には吃音を併発している人もいます。

吃音の現れ方は人それぞれ

吃音には3つの種類があり、「連発」「難発」「伸発」という症状として現れます。

連発の症状の場合は「わっ わたしの なまっ なまっ 名前は○○です」というように発話してしまい、難発の場合は「…………………………………私の」というように発話してしまい、伸発の場合は「わーーーたしの名前は○○です」というように発話してしまいます。

吃音は手足を動かす、発汗や赤面、顔の表情が歪むなど、随伴運動が伴うこともあり、なんとか発話しようとして相手の人に唾を飛ばしてしまうこともあります。

子供の頃は本人が気づいていない場合も多く、吃音の程度やどもりやすい言葉や場面には個人差があるといいます。

緊張していたり、朗読や電話の応対をしたりする、「あいさつ」などの日常よく使う言葉、固有名詞など、どもりやすい傾向があるとされます。

ひどく吃ってしまい会話が困難な人もいれば、吃音ではあるがなんとか生活している人もいます。

日本では、100人に1人の割合で吃音で苦しんでいる人がいるにもかかわらず、その社会的認知度は決して高くありません。

言葉が出にくいというのは一般の人にとっては些細なことに悩んでいると思われがちですが、本人にとっては深刻な問題で、それが周りには理解してもらえないことで、さらに悪循環を招くようです。

スポンサードリンク



吃音の治療は難しいといわれている

吃音に絶望し、追い詰められて自殺した方の記事を読んだことがあります。

自殺しないまでもうまく言葉が話せないことに起因する精神的な恐れ、うつ病、対人恐怖症、ひきこもりなどの二次障害を併発することもあります。

吃音症の治療は、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、心療内科、精神内科、また場合によっては口腔外科の受診となります。

どもる言葉を巧みに避け、いいにくい言葉の前に「え~と」「あのね」をつけたり、言葉をいいかえて話す、抑揚をつけるなど工夫をすると、だいぶ改善されるようです。

吃音者が歌を歌うときにはどもらないといいます。

言語治療士による治療も行われていますが、必ずしも改善するとは限りません。

吃音者は傍からは吃音だと気付かれないように、人に気づかれないところで相当神経をつかっているのに、周りからその辛さは理解されにくいようです。

全国的にもまだまだ吃音症の治療ができる病院が少ないのが現状で、小児の吃音症治療を対象としていることが多く、大人の吃音症治療はより少ないのが現状です。

吃音との望ましい向き合い方とは

吃音の情報、治療方法をネットで検索すると様々な方法が出てきます。

どれが本当なのか、何からやればいいのか、ちょっと選択に迷います。

吃音ドクターといわれる菊池良和さんが、自分の体験から本を出版したり、講演を開催されていて次のようにおっしゃっています。

・吃音を持っている子供、人は、どもらないようにといわれれば言われるほど、精神的負担が大きくなる。

・子どもに対し、「ゆっくり話せば大丈夫」「もう1回、行ってごらん」と言い直しを求める事は避ける。

・親が、話したいと思われる言葉を待ちきれずに、先に言ってしまうことも避ける。

・どもっても何もいわずに聞いてあげる。(それだけで本人は安心して話せる。)

・一生懸命話す姿をほめてあげる。

吃音を隠すために、言葉を言い換えたり、工夫するのは結局は治すことにはならないので、カミングアウトする、向き合うことが大切だといいます。

吃音者自身が自分に吃音があることを認め、受け止めることもとても大切だといわれます。

自分に吃音があっても、自分のやりたいこと、目標を持ってあきらめない、前に向かって行く姿勢が必要です。

そのために親がすることは、子供に吃音があっても安心して生活できる環境を作っていくこと、親、親戚、学校の先生、友達に理解を求めていくことだと訴えておられます。

とはいえ、理解のない社会に一人で立ち向かっていくのは容易ではありません。

一人で悩まずに相談することも大切です。

NPO法人 全国言友会連絡協議会

まとめ

吃音がまだまだ世間に知られていないということ、今でも間違った考えを持っている人が多いことなど、広汎性発達障害に対する世間の考えと同じようなことがあるんだなと思いました。

広汎性発達障害の子供が、吃音を併発することがありますが、親がきつく叱ったり、本人にプレッシャーを与えてしまうのはかえってよくありません。

多くの子供たちは、ごく自然に吃音が治っていくというので、かえって吃音を意識させない方がいいそうです。

幼少期からの環境も重要だと思います。

吃音のことでからかいやイジメがあれば、学校での学ぶ機会を奪われるかもしれませんし、ひきこもりやニートになってしまう場合もあるでしょう。

その一方で、吃音があったとしても幼少期からのチャンスや機会を失うことなく成人して、吃音を隠さずに社会に溶け込める吃音者も存在します。

人と少し違うというだけで、日本においては生きづらさを感じてしまう人が多いのは残念なことだと思います。

自分とは違う人の存在を認め、受け入れられるようになると、人は人格的に成長するのかもしれません。

自分の経験や基準で物事を判断していたら、いつまでも自分の器は大きくなりません。

広汎性発達障害も、吃音も社会では少数派の人達ですが、当事者や、親が正しい知識と理解をもつことは最低限しなければならないこと、おかれた環境の中で精一杯の努力をしていくことは必要だと思います。

障害があるからと自分の夢をあきらめたり、周りがわかってくれないと人生を放棄したりする悲観的な選択をせずに、笑顔になれる方法を考える人が増えることを心から願います。

スポンサードリンク



コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ