広汎性発達障害、興味の対象が狭いといわれるアスペルガーの原因とは
アスペルガー症候群は広汎性発達障害の一つですが、物事の全体像を捉えることが苦手、興味の対象が狭いといわれるようです。
自分の得意分野を仕事にしてしまう人は才能を発揮する反面、社会的孤立や排除、リストラ等で二次障害を招きやすいという指摘もあります。
アスペルガー症候群の原因についても調べてみました。
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興味の対象が狭いアスペルガー症候群の人は社会に適応しにくい?
アスペルガー症候群とは、知的な遅れはないものの、社会性、コミニュケーション、イマジネーションについて特異性が認められる広汎性発達障害の一つです。
相手の表情が読み取れない、興味の対象が狭い、感情表現が苦手といった特徴を持つといわれています。
得意分野においては、驚異的な記憶力を示すこともありますが、二つのことを同時にできないなど、定型発達の人が普通にできることができないという特徴も見られます。
アスペルガーの人は大学に進学し、社会にでてから就職後に適応障害を起こすことが多いそうです。
コミュニケーションの特異性、複数の業務をこなすことができない、突然の変化にうまく対応できない、全体像把握がうまくできないなどが大きな理由になっています。
それゆえ大人のアスペルガーの人は、接客やチームワークを必要とする仕事には向いていないといわれます。
彼らに必要な支援は、スケジュールや手順を明確にする、曖昧な言葉を使わない、複数のことを同時に頼まない、ジョブコーチをつけること等が有効だといわれています。
興味の対象が狭いといわれるアスペルガー症候群の原因とは
アスペルガー症候群の原因は、現在の医学ではまだはっきりとしていません。
アスペルガー症候群に見られる3つの特徴は、認知発達の欠如であることから、脳機能の障害ではないかといわれています。
原因については様々な説があります。
遺伝説
アスペルガー症候群の原因として遺伝的な要素が大きいといわれています。
子供の特徴を注意深く見ていくと、親もそのような特徴を持っていたという場合が多いようです。
胎内での環境要因説
・母親から胎児にが男性ホルモンが多量に分泌された。(男性ホルモンは、農薬やダイオキシンなどの環境ホルモンが影響しているとも言われています。)
・妊娠中に、風疹ウィルスに感染すると、胎児がアスペルガー症候群になるリスクが高まるといわれています。
・水銀、鉛などが、水や食物を通して母体に取り入れられると、胎児が自閉症傾向になるという説があります。
先天的な脳の機能障害
広汎性発達障害、アスペルガー症候群は、先天的な脳の障害であるという説です。
脳の機能については、はっきり解明されているわけではありませんが、脳の複数の部分がうまく機能しないために、障害が生じているのではないかと考えられています。
前頭前野や側頭葉、扁桃体が十分に機能していないからではないかという報告もあります。
いままでアスペルガー症候群の原因は、子供の育て方が悪い、テレビの見せすぎ、愛情が足りないなどとも言われてきましたが、これについてはなんら医学的根拠はないといわれています。
子供が発達障害の診断を受けたとしても、母親は自分を責めなくていいのです。
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興味の対象が狭いといわれるアスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群には知的な遅れが見られないため、小学校くらいでわかることが多いです。
見た目は至って普通であるため、障害ということに気づかず、大人になるまで未診断の人もいます。
アスペルガー症候群の人は「コミュニケーションが苦手」「空気を読めない」「悪気はないのに人を怒らせてしまう」など人間関係で苦労するようです。
社会性の特徴
アスペルガー症候群の人は、定型発達の人と違う情報処理の仕方、ものの捉えかたをします。
興味の対象を狭いところに当てて捉える特性があるので、自分の興味のあることならずっとしゃべっていることもあります。
そのとき相手がどう思っているかとはあまり考えず、相手も自分と同じような考えだと思っています。
相手と意思疎通はできますが、相手の話に関心がないと興味を示さなかったり、聞いていなかったり、相手の目を見て話さなかったり、対話する距離感が近すぎるなどの不自然さが認められます。
また、言葉や冗談をそのまま素直に受け取るため「場の空気を読む」という事ができません。
イマジネーションの特徴
アスペルガー症候群の人は目に見えない時間や、未来のことを予想することが苦手です。
曖昧な言い回しも苦手で、「それやっといて」とか、「最近、どう」とか言われても、どう答えるべきかわからないといいます。
相手の身振りや表情を見て相手の気持ちを把握したり、アイコンタクトで伝えあったりという事も苦手です。
初めてあった人に「太ってますね」「どうしてはげているんですか?」などといってしまったり、人を傷付けてしまう言動を発してしまうことがあります。
また、相手と喜びや達成感をともに分かち合うという事が上手ではありません。
限定された興味やこだわりに対する特徴
アスペルガー症候群の人は興味の対象が狭く、強いこだわりをもつことが知られています。
時に常人では考えられないような集中力、記憶力を発揮して偉業を達成する人もいます。
五感からの感覚過敏を持っていたり、痛みに鈍感だったりします。
アスペルガー症候群の人が抱えている現実
アスペルガー症候群の人は、社会に適応しにくい困難さをかかえている人が多いようです。
対人関係において衝突が起こり、引きこもりになってしまったり、自分自身に強いコンプレックスを抱え、うつ病を発病したり、自殺願望を持つ人も少なくないといいます。
今後、さらにそういう人たちが増えてくる可能性があるので、広汎性発達障害や、アスペルガー症候群の人への理解や支援の必要性が問われています。
アスペルガー症候群の厄介なところは、外見ではよく判断できません。
知的水準は高いので、実際に話してみても障害を持っている人間とはわからない場合もありますが、学校でいじめの対象になったり、職場では仕事ができないと思われ解雇されることもあり、現状は深刻です。
アスペルガー症候群の人がパートナーだった場合、情緒的な相互関係が築けないために、配偶者やパートナーに身体的、精神的症状が生じる『カサンドラ症候群』になることがあります。
カサンドラ症候群は配偶者だけでなく、家族、友人、会社の同僚にも及ぶといわれているので、他人事とはいえません。
アスペルガー症候群の人は精神障害者保険福祉手帳を持てることになっていますが、具体的な判定基準や判定ランクの設定は都道府県により異なります。
行政の側でも、障害者雇用を義務づけるなどの取り組みは行なわれていますが、アスペルガー症候群の人が、対人関係や精神衛生上の問題をクリアした上で、安心して就労できる環境にはまだなっていないといえるでしょう。
最近になって大人の発達障害がクローズアップされてきましたが、大人になるまでわからない人、本人に自覚のない人もいるので、社会に出てから問題になるという方が後を絶たないのだと思います。
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まとめ
広汎性発達障害や、アスペルガー症候群の名前は知っていても、どういうものかを知っている人はまだ少ないのではないでしょうか。
原因や脳の研究についても、これからどんどん明らかにされていくのでしょう。
興味の対象が狭いといわれるアスペルガー症候群は、周りから理解されにくく、自分でも生きづらさを感じている人が多いのです。
生きづらさの原因を知り、それにどう対処していけばいいのか、将来どういう仕事に生かせばいいのか考え、わからないときは一人で悩まずに、専門の機関に相談しましょう。
よく分からないままにしておくと、社会にでてから、結婚してから挫折し、心を病んでしまうことがあります。
広汎性発達障害の人がよき理解者に恵まれ、適切な支援を受けられるように願っています。
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